(番外編)’21-’22 レアルマドリード、チャンピオンズリーグの軌跡 ~神がかり的な勝負強さ~

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普段の解説シリーズとは、全く関係がないないのですが、「レアルマドリード(以下「マドリー」)」というサッカークラブの今季の戦いぶりについて、解説をさせていただきます(ただの趣味、オタク記事ですのでご容赦ください)。

特にチャンピオンズリーグの決勝トーナメント以降の戦いはいずれも激熱でしたので、振り返っていきます。

サッカーファン

いよいよ週末はファイナル(vsリバプール)ですね。相手からすると4年前のリベンジマッチということで、非常に楽しみな一戦です。

vsパリサンジェルマン

1stレグ @Paris

対戦相手の「パリサンジェルマン(以下「PSG」)」は、メッシ、エムバペ、ネイマールといった世界的なスター選手を擁するタレント軍団です。圧倒的な資金力をもとにスター選手を揃えていますが、欧州の大舞台(チャンピオンズリーグ)では優勝の経験がなく、悲願の優勝を狙うという使命を背負ったチームでもあります。

サッカーファン

フランスのリーグでは、ほぼ一強という状況なので、チャンピオンズリーグに掛ける思いは強いですよね。

パリでの1stレグは、マドリーファンにとっては辛い90分となりました。ほぼほぼ90分間、パリのペースで、「3-0」「4-0」といったスコアで終わってもおかしくないような試合展開でした。しかし、マドリーの守護神クルトワの活躍もあり、試合終了間際までは「0-0」のスコアのまま均衡が保たれます。

このまま「0-0」で終わり、次戦をホームで迎えるという展開であれば十分という雰囲気が流れ始めていましたが、試合終了間際のアディッショナルタイム、ネイマールからのパスをエムバペが受けると、ゆっくりとした間合いでドリブルを開始します。

マドリー側もエムバペの仕掛けには十分警戒しているため、DFルカス・バスケス、DFエデル・ミリトンの2人で対応します。しかし、それを上回ったのはエムバペ、、二人の間を抜き去り、GKクルトワの股の間を抜くシュートを決め、パリが「1-0」と勝ち越します。試合は、そのまま終了しました。

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辛い展開の試合でしたが、崩された場面はほとんど相手FWエムバペの個人技ということもあり、PSG強し」というよりも「エムバペ、エグい、、」という印象でした

スタメン出場の右SBカルバハル、途中出場のルカス・バスケスは、非常に優秀な選手ですが、エムバペ相手となると非常に苦戦を強いられました。

2ndレグ @Madrid

パリが「1-0」でリードした状態で迎えた第2戦は、マドリーのホームスタジアム「サンティアゴ・ベルナベウ」で行われました。ホームのサポーターの声援を受けながらパリに挑みます。

1stレグではあまり見られなかった前線からのプレスがうまくはまり、マドリーの攻勢が見られる展開となりました。しかし、得点は奪えず、徐々にPSGが勢いを取り戻します。そして、前半39分、またしてもネイマールのパスに抜け出したエムバペの一撃でパリが「2-0」と点差を広げます。

その後もPSGがボールを保持する展開が続き、このままPSGが勝ち上がるような雰囲気が立ち込めていました。そこで、後半57分、カルロ・アンチェロッティ監督は、成長著しい若手選手のFWロドリゴ、MFカマヴィンガをピッチに送り込みます。

そして、後半61分、1つのプレーから試合の流れが大きく変わります。相手GKドンナルンマまで下げられたボールに対して、ベンゼマが猛烈なプレスをかけると、これが相手GKのパスミスを誘い、こぼれ球を拾ったFWヴィニシウスからの折り返しをFWベンゼマがゴールに叩き込みます。このゴールによって、スコアは「2-1」になりましたが、このままではパリが勝ち抜けです。

アラバの闘魂注入

このゴールの直前にエデル・ミリトンが足を痛めてピッチに倒れこむのですが、今季加入の先輩DFダビド・アラバが「お前がやらないと誰がやるんだ(発言は推測です)」と気合を入れなおすシーンは印象的でした

偉大なるカピタン(キャプテン)セルヒオ・ラモスが退団した穴は大きいと思っていましたが、若手のミリトン、経験豊富でキャプテンシーのあるアラバの見事な活躍でマドリーのディフェンスには安定がもたらされました。

このゴールによってスタジアムの雰囲気は一変し、ここからはマドリーペースの試合が展開されていきます。そして、後半76分、自陣でMFモドリッチが相手FWネイマールのパスを奪うと、そこからドリブルを開始、ハーフウェーライン付近まで相手選手5人を引き連れドリブルすると、ヴィニシウスに決定的なスルーパスを通します

しかし、PSGディフェンスの帰陣も素晴らしく、シュートコースは消されてしまいます。そこで、ヴィニシウスは、スルーパスを出したモドリッチに一度ボールを戻します。モドリッチは、相手DFの股下を抜き去り、またしても決定的なパスをベンゼマに通します。これを再びベンゼマがゴールにねじ込み、スコアは「2-2」のイーブンとなりました。

サッカーファン

モドリッチの素晴らしいドリブルと2つの決定的なパスによってPSGの組織を粉砕しましたね。

その後、流れは一気にマドリーに傾きます。得点直後のキッキオフ早々、相手のパスをロドリゴが奪い去り、ヴィニシウスへ展開します。相手DFマルキーニョスがボールをカットし、クリアしようと試みますが、そのボールはベンゼマの前に転がり、これをゴールに流し込みます。スコアは「3-2」となり、ついにマドリーが逆転に成功します

チームとしての均衡を保てなくなったPSGは空中分解し、マドリーがそのままベスト8へ進むこととなりました。

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ベンゼマのハットトリックによる見事な逆転勝利でした。若手のロドリゴ、カマヴィンガもこの大舞台で途中出場から逆転劇に貢献することができたため、大きな自信につながったと思います。

アンチェロッティ監督も試合後の会見で「このスタジアム(サンティアゴ・ベルナベウ)では、魔法が起こる。言葉では説明ができない」との発言していましたが、強豪PSGを相手に信じられないような逆転劇でした。

モドリッチのディフェンス力

印象的なシーンをもう1つご紹介します。素晴らしいドリブル、パスでベンゼマのゴールをおぜん立てしたモドリッチですが、ディフェンスでも大活躍でした。

セットプレーの後で、前がかりとなったマドリーに対し、相手FWメッシがカウンターのドリブルを仕掛けます。スピード、テクニックのあるメッシのドリブルを止めるのは至難の業です。

対峙するモドリッチは、スピードやフィジカル面では恵まれていないのですが、相手の動きを正確に読み、見事なスライディングでメッシを止め、PSGのカウンターを封じました

止められたメッシとタックルをしたモドリッチは即座に立ち上がり、次のプレーに備えます。お互いの意地と意地がぶつかり合うような胸が熱くなるシーンでした(ネイマールだったら、痛がってピッチに転がっていたんじゃないかと思います)。

vsチェルシー

1stレグ @London

この試合でもエースFWベンゼマの勢いは止まりませんでした。前半21分、ワンツーで抜け出したヴィニシウスからのクロスを曲芸的なヘディングでゴールに流し込み、マドリーが「1-0」と先制します。前半26分には、モドリッチからのクロスに再びヘディングで合わせ、「2-0」と点差を広げます。対するチェルシーも前半40分、MFジョルジーニョのクロスにFWハヴァーツが合わせ「2-1」とします。

しかし、前半46分、パリ戦に続いて相手のミスを見逃さなかったベンゼマが、相手GKメンディからボールを奪いゴールに流し込みます。ベンゼマの2戦連続ハットトリックでスコアを「3-1」とし、そのまま試合は終了します。

サッカーファン

1stレグは絶好調のマドリーが余裕の試合を見せたという印象でしたね。

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そうですね。楽勝ムードで2ndレグを迎えることができたのですが、ホームで迎えた2ndレグは波乱の展開となりました。

2ndレグ @Madrid

試合の序盤こそ流れは悪くなかったのですが、前半15分、一瞬のスキを突かれ、相手FWメイソン・マウントに先制ゴールを許します。徐々にチェルシーに流れが傾いていくと、後半51分にDFリュディガー、後半75分にはFWヴェルナーのゴールが決まり、2戦合計で「4-3」と逆転を許してしまいます。ゴールシーン直前にもDFマルコス・アロンソのゴールがオフサイドで取り消されるなど、1stレグとは打って変わり、劣勢な状況が続きます。

このピンチを救ったのは再びモドリッチでした。タッチライン際でボールを受ける、即座に反転し、右アウトサイドキックでゴール前へ絶妙なパスを送ります。これを途中出場で入ったばかりのロドリゴが冷静にゴールに沈め、2戦合計「4-4」とチェルシーに食らいつきます。

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相手DF、GKからすると、まさかあのタイミングで、あの軌道でパスが通るとは通常は考えられないので、どうしようもないような失点だったと思います。

サッカーファン

ベンゼマのゴールもそうですが、相手DF泣かせのゴール(相手からすると、頑張っても止めようがない)が多いのがいかにもマドリーという感じですね。

若手の成長・台頭

同点ゴールを決めたロドリゴもそうですが、今季は若手の成長が著しいシーズンとなりました。パリ戦で途中出場したロドリゴ、カマヴィンガは、もともと実力者ですが、チャンピオンズリーグの戦いを通じてさらに自信をつけてきていると感じます。

なかでも、ヴィニシウス・ジュニオールは、チームにとって絶対的な存在となりました。昨シーズンまでは、フィニッシュ以外完ぺきといわれていましたが、今季はアシスト・ゴールともにキャリアハイの数字をたたき出し、ついに覚醒したという印象です。以前は連携があまり良くないと言われていたベンゼマとの相性も今期は抜群で、2人のホットラインでゴールを量産しています。

また、忘れてはいけないのがMFフェデ・バルベルデの存在です。恵まれた長い脚や高い運動能力を生かしたダイナミックなプレーが特徴ですが、右ウイングをこなすといったユーティリティ性もあり、チームにとって欠かせない存在となっています。

マドリーの中盤は長年、クロース、モドリッチ、カゼミーロという阿吽の呼吸でプレーする3人の偉大な選手たちで構成され、幾度となくタイトルを獲得してきました。ここにきてようやく、フェデ・バルベルデ、カマヴィンガといった若手が3人を脅かす存在となっており、世代交代が見えてきたのは将来を考えると良いニュースです

しかし、三度マドリーにピンチが訪れます。この試合は、累積警告でスタメンDFエデル・ミリトンが欠場していた代役としてDFナチョ・フェルナンデスが出場していたのですが、試合終盤に足をつってしまい、ルカス・バスケスとの交代を余儀なくされます。

本職がCBであるミリトンが欠場、CBができるMFカゼミーロ、左SBのマンディも既に交代しているという厳しい状況のなか、本職がセンターバックではない右SBカルバハルがCBを務めることとなります。そして、試合はそのまま延長戦へ突入します。

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守備力のある左SBマンディに代わり、攻撃力のあるマルセロが入っていたこともあり、チェルシーの攻撃力を考えると、守備面ではかなり苦しい、、見てられない。というのが正直な気持ちでした。

しかし、延長前半6分、不安はすぐに解消されます。左サイドを駆け上がったヴィニシウスからのセンタリングにまたもベンゼマが合わせ、2戦合計「5-4」と勝ち越しに成功します。その後、守備面での苦しさはあったものの、途中出場のカマヴィンガ、ルカス・バスケス、CBに入ったカルバハルを筆頭にチーム一丸となってチェルシーの攻撃を跳ね返します。そのまま試合は終了し、マドリーがベスト4への勝ち抜けを決めました。

vsマンチェスターシティ

1stレグ @Manchester

次の対戦相手は「過去最強チーム」とも評され、先日プレミアリーグ優勝を決めたマンチェスターシティ(以下、マンC)です。1stレグは、敵地エティハドスタジアムでの一戦となりました。

序盤から試合のペースを握ったのは、プレミア王者のマンCでした。試合開始わずか2分、FWマフレズのクロスに、MFケヴィン・デブライネがダイビングヘッドで合わせ、マンCが「1-0」と先制します。さらに前半11分、ゴール前でボールを受けたFWガブリエル・ジェズスが反転からシュートを決め、早々にスコアを「2-0」とします。

ほとんどチャンスを作らせてもらえなかったマドリーですが、前半33分、DFマンディからのアーリークロスにベンゼマが合わせ、スコアを「2-1」とします

サッカーファン

これも非常に難易度の高いゴールで、相手DF泣かせでしたね。チームで相手を崩したというよりもベンゼマの個人技でもぎ取った1点という印象です。

しかし、後半もペースを握ったのはプレミア王者マンCでした。前半36分に先発出場していた相手DFストーンズの怪我により、前半から途中出場していたDFフェルナンジーニョ(本職はMF)が仕事をします。マンディからヴィニシウスへのパスをインターセプトすると、そのまま右サイドを駆け上がり、ゴール前へ絶妙なセンタリングを上げます。これをFWフィル・フォーデンがヘディングでゴールへ流し込み、再び得点差を2点に広げます。

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フェルナンジーニョのパスカットも見事だったのですが、マンディとヴィニシウスのパス交換も少し軽率でした。これには、アンチェロッティ監督からもヴィニシウスに喝が飛びました。

相手のパスカットを許してしまったヴィニシウスですが、その2分後、お返しとばかりのスーパープレイを魅せます。タッチライン際で同じようにボールを受けようとするヴィニシウスに対し、再びフェルナンジーニョがプレスをかけてくるのですが、ヴィニシウスはボールに触れず、そのまま裏に抜け出します。後手をとったフェルナンジーニョは後ろから追いかけますが、ヴィニシウスのスピードには追い付けず、カバーに入ったDFカイル・ウォーカーも間に合わず、ヴィニシウスはそのままゴール前まで独走し、相手GKエデルソンの脇を抜くシュートを見事に決めました。これでスコアは「3-2」となり、依然としてリードは許していますが、マドリーも食らいついていきます。

しかし、後半74分、バイタルエリア付近で相手FWフィル・フォーデンがドリブルを仕掛けると、カマヴィンガがたまらず足をかけてしまいファウル、、、と思われましたが、ボールはそのまま相手MFベルナルド・シウバのもとへ転がります。ファウル判定はなく、マドリーの選手が一瞬足を止めたところを見逃さなかったベルナルドが鋭いシュートを左隅に突き刺します。これで、スコアはまたも2点差の「4-2」となります。

サッカーファン

チャンスの数も多かったので、やはりマンC強しという雰囲気でしたね。

しかし、試合はまだ終わりません。後半82分、相手DFラポルトのハンドによってマドリーがPKを獲得します。PKキッカーは、もちろんエースのベンゼマです。

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いつもなら安心してみていられるベンゼマのPKですが、実は前の試合でPKを2本連続で失敗するというミスをしていたのです

いずれも「左隅」を狙ったシュートでがキーパーに阻止されるというもので、キッカーとして悪いイメージが残っているのではないかと心配でした。

当然相手GKエデルソンもその情報は把握しているため、ベンゼマに対してプレッシャーをかけてきます。チームメイトは、2本失敗している「左」に再び蹴ってくるのか、今度は「右」に蹴ってくるのか、ドキドキしながらベンゼマのPKを見守ります。そんな中、ベンゼマはなんと「パネンカ(チップキック)」を仕掛けてきました。エデルソンは「右」と予測しジャンプしますが、ふわりと蹴られたボールはゴール真正面に転がり、「4-3」と再び1点差に詰め寄ります。

サッカーファン

時が止まったような感じでしたね。ベンゼマのメンタルがすごいです。

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セルヒオ・ラモスがよく見せていたパネンカですが、ベンゼマのパネンカは初めて見ました。それもCLの準決勝というこれだけの大舞台でやるとは驚きです。

偉大なるカピタン

昨シーズンをもって退団するまで、長年にわたりマドリーのカピタン(キャプテン)は、セルヒオ・ラモスというスペイン人選手が担っていました。まさに勝者のメンタリティを体現するような選手で、気迫のこもったスライディング、試合終了間際の逆転ゴールなど、何度となくマドリディスタを興奮させてきた選手です。

セルヒオ・ラモスが退団した後に、勝者のメンタリティが残るか心配だったのですが、チームを引っ張るベンゼマ、モドリッチ、アラバ、カルバハルといったベテラン選手たちは、このメンタリティをしっかりと引継ぎ、強いマドリーを体現してくれています。

終始マンCがペースを握る展開でしたが、マドリーの驚異的な食らいつきによって、1stレグは「4-3」と1点差で終了しました。1点リードされた結果ではありますが、内容的にはもっと点差がついていてもおかしくなかったですし、次戦は魔法がかかる「サンティアゴ・ベルナベウ」ということもあり、楽観的な気持ちで2ndレグを迎えるマドリーファンも多かったのではないかと思います

2ndレグ @Madrid

幾度となく魔法がかかる「サンティアゴ・ベルナベウ」で迎える第2戦ですが、ここまで大車輪の活躍だったDFダビド・アラバが怪我により欠場となり、代わりにDFナチョ・フェルナンデスが入りました。それ以外は、ベストメンバーでマンCを迎え撃ちます。

序盤から攻勢を見せるマドリーですが、得点が奪えないまま時間だけが経過していきます。成長著しいヴィニシウスが何度か仕掛けを見せますが、相手が世界屈指のDFカイル・ウォーカーということもあり、なかなか決定的なチャンスを生み出すことができません。そのまま前半は「0-0」のまま終了します。

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前半は得点を奪えずでしたが、ジョーカー的な存在であるロドリゴやカマヴィンガがベンチに控えていたため、まだまだ後半戦えるという感じではありました。

次の1点が勝敗を分けそうな時間帯に入ってきた後半68分、いよいよジョーカーであるロドリゴがトニ・クロースに代わって投入されます。フェデ・バルベルデがトニ・クロースのポジションに下がり、ロドリゴが右FWのポジションに入りました。

ところが、先制したのはマンCの方でした。後半73分、中央でフリーとなった相手MFベルナルド・シウバがドリブルでゴール前まで仕掛け、右サイドへスルーパスを出すと、これをFWマフレズがゴールに叩き込み、2戦合計で「5-3」と再び2点差となってしまいます

サッカーファン

残り約20分で、プレミア王者マンCを相手に2点差、、さすがのマドリーにとっても非常に厳しい状況ですね。

ここでアンチェロッティ監督は、疲れが見えるカゼミーロ、モドリッチに変えて、FWアセンシオ、MFカマヴィンガをピッチに送り込みます。一方、マンCのグアルディオラ監督は、攻撃的な選手であるFWグリーリッシュを送り込み、とどめの一撃を狙いにきます。

すると、後半85分過ぎに相手FWグリーリッシュに決定的なシーンが2度訪れます。いずれもゴールマウスを正確に捉えたシュートでしたが、1本目はゴールマウスをカバーしていたDFマンディに、2本目はGKクルトワに防がれてしまいます。なんとか凌いだマドリーでしたが、残り時間はアディッショナルタイムの6分のみという絶体絶命の状況です。

ただ、幾度となく魔法を見てきたマドリーファンはそれでも諦めませんでした。すると、後半90分、カマヴィンガのゴール前へのクロスをベンゼマが中央に折り返すと、そこにロドリゴが飛び込み、気合のゴールで1点を返します。これでスコアは「5-4」となり、あと1点入れば延長戦へ突入です。

さらに、そのわずか1分後、カルバハルのクロスに再びロドリゴがヘディングで合わせ、なんと約2分間で「5-5」に追いついてしまいます。「奇跡」としか言いようがありませんが、このときのロドリゴは、魔法に掛けられ、完全にゾーンに入っている感じでした(チーム内では、ロドリゴの奇跡的なゴールのことを「ロドリゴール」と呼んでいるそうです)。

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延長戦に入ってからは、この勢いのままマドリーが圧倒します。

延長前半5分、ベンゼマがペナルティエリア内でファウルを受けPKを獲得すると、今度は右隅に冷静に流し込みます。2戦合計「6-5」となり、準決勝に入ってから初めてマドリーが勝ち越します。試合はそのまま終了し、マドリーはファイナルに進出することとなりました。

vsリバプール(5/29早朝)

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いよいよ、明日に迫ったリバプールとの決勝戦ですが、個人的な注目選手をご紹介します。

注目選手

カリム・ベンゼマ

言わずもがなですが、大車輪の活躍をしているマドリーの王様です。

クリスティアーノ・ロナウドの在籍時は黒子に回ることが多かったですが、ここにきて本来のストライカーとしての才能が爆発している印象です。得点を取るだけでなく、司令塔としての役割でもチームに貢献することから「9.5番(9番:ストライカー、10番:ゲームメイカー)」と称されることも多い選手です。決勝戦でもベンゼマの神がかりゴールやゲームメイクに期待です。

ルカ・モドリッチ

こちらも言わずもがなですが、マドリーの中盤をコントロールする絶対的な司令塔です。

決勝でも抜群のテクニックに加え、視野の広さ、サッカーIQの高さでチームに安定をもたらしてくれるだけでなく、守備面でも36歳とは思えない豊富な運動量や、鋭い読みで相手の攻撃の芽を潰してくれるでしょう。

また、今シーズンは、逆境の場面で印象的なパスを出すことが多く、強敵リバプールに押し込まれる展開のなかでも決定的な仕事をしてくれるのではないかと期待します

エドゥアルド・カマヴィンガ

今季から加入した成長著しい19歳のMFです。トニ・クロースやカゼミーロといったベテランがチームに安定感をもたらしてくれるのに対し、この選手は、途中出場からでもアジリティの高さでチームに変化をもたらすことができます。しなやかなボールタッチ、フィジカルを活かしたディフェンス、強烈なシュートなど、抜群のサッカーセンスでマドリーの将来を支えてくれそうな存在です。

試合展開にもよりますが、決勝戦でも途中出場からチームを勢いづけてくれるのではないかと期待します。

ナチョ・フェルナンデス

フィジカル的に万全でないDFダビド・アラバに代わってスタメン出場、あるいは途中出場することが予想されます。普段は、ベンチメンバーとなることが多いですが、高いユーティリティ性に加え、出場した際には安定感抜群のプレーを見せてくれる選手です。チームにとって非常に貴重な戦力です。

セルヒオ・ラモスを彷彿させるような激しいタックルや、ゴール前での得点力の高さも魅力の1つです(リーグ優勝時の「マタドール」パフォーマンスを引き継いだこともあり、セルヒオ・ラモスの魂を1番引き継いでいる選手だと思っています)。

モハメド・サラー

最後に相手FWモハメド・サラーにも注目です。4年前のCL決勝もマドリーvsリバプールというカードだったのですが、セルヒオ・ラモスのタックルによって、サラーは前半で負傷交代を余儀なくされます(このタックルは、マドリーファンからしてもちょっと、、という内容でした)。

4年前のリベンジに燃えるサラーが、どのようなプレーを見せるのかは1つの注目ポイントです

試合結果(5/30追記)

結果から書いてしまいますが、「1-0」でマドリーが逃げ切り勝ちという素晴らしい優勝でした。

この試合は、予想通り序盤からりリバプールに押し込まれる展開が続くものの、守護神GKクルトワの度重なるファインセーブで失点を許しませんでした。マドリーはカウンターを虎視眈々と狙う展開となりました。

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今シーズンのクルトワのパフォーマンスを考えると、いつもどおりの素晴らしい活躍なので大きな驚きではなかったです。シーズンを通して、ベンゼマと並んでバロンドールレベルの活躍をしてくれました(クルトワ無しで今シーズンの優勝はなかったと思います)

前半を「0-0」でしのぎ切ると、後半59分、相手のプレスを右サイドのミリトン、カルバハル、モドリッチのパスワークでうまく回避すると、中央のカゼミーロから右サイドのフェデ・バルベルデへ展開されます。やや前がかりとなったリバプールDFに対し、フェデ・バルベルデは強烈なシュート性のクロスをファーサイドに送り込みます。

これに合わせたのは今期覚醒したヴィニシウス・ジュニオール、見事にゴールへ流し込、「1-0」とします。

ありがとうマルセロ

CL決勝後に、今シーズンからキャプテンを務めていたマルセロが退団を発表しました

マルセロは2007年に18歳という若さでマドリーに入団すると、偉大な先輩ロベルト・カルロスから左SBのポジションを引き継ぎます。守備面での不安を指摘され、モウリーニョ監督時代にはスタメンを外されるといったこともありましたが、マルセロの一番の強みである圧倒的なテクニックと攻撃力を活かし、チーム歴代最多となる25個のタイトル獲得に貢献しました。特にクリスティアーノ・ロナウドとのコンビは抜群で、2人のホットラインでゴールを量産してきました。

また、カゼミーロ、ミリトン、ヴィニシウス、ロドリゴといったブラジル人の後輩たちのお世話役として、いまのブラジル人のマドリーでの活躍にも貢献しています。

時折見せる右足での強烈シュートやトリッキーなドリブルなど、見ているファンを楽しませるプレーを多く見せてくれました。マルセロのプレーがマドリーで見れなくなるのは非常に寂しいですが、これまで本当におつかれさまでした。ありがとうマルセロ。