(図解)「男性の育休」に関するお金のはなし ~意外とお金に困らない?~
【難易度★★☆☆☆】

給料・賞与はどうなる?

相談者

育休を取得したいのですが、お金のことが心配です。育休中も給与や賞与は出るのでしょうか。。

会計士

会社の規程にもよりますが、基本的には、育休中の給与や賞与は支給されません(正確に言うと、賞与の「出勤率」計算には含まれません)。

相談者

やっぱりそうですか。育休取得は諦めます。。

会計士

ただし、給与や賞与以外の形でお金をもらうことができるので安心してください

今回は「育児休業」に関するお金の話を解説していきたいと思います。特に男性が育休を取得する場合の内容を中心に解説を進めていきます。

育児休業給付金

会計士

育休期間中の主たる収入源は「育児休業給付金」です。

給付がされる「期間」「金額」について、それぞれ解説を進めていきます。

育児休業給付期間

子供が1歳になるまでの期間のうち、育児休業取得日から終了まで給付を受けることができます。

  • 父親の場合
    出産日から育児休業の取得が可能
  • 母親の場合
    出産日の8週以降から育児休業の取得が可能

母親の場合、出産後8週までは産前産後休暇として扱われます。

支給金額
  • 休業開始~180日
    賃金の67%が支給されます(ただし約30万円/月を上限とする)
  • 180日以降
    賃金の50%が支給されます(ただし約23万円/月を上限とする

ここでいう「賃金」は、手取り額ではなく「給与の額面」で計算されます。
また、各種手当(裁量労働手当等)も計算に含まれます。

相談者

結構もらえそうですが、やっぱり減ってしまうのですかね。

会計士

少なくなるように見えますが、以下の内容を踏まえると、そこまで手取りは減らないのではと思います。

  • 「額面」の67%(50%)がもらえること
  • 支給額は「非課税」となること
相談者

税金も非課税になるんですか。それは大きいです。

会計士

次にお話しますが、社会保険料も免除され、給料から各種天引きがされていたものが引かれなくなるので、手取りが大きく減ることはないと思います。
(もともとの年収が高額の場合には、比較すると当然手取り少なくなります)

詳細については、以下のページもあわせて参照することをおススメします。

厚生労働省のHPQ&A~育児休業給付~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html

「育児休業給付金」は原則として2か月に1回の支払い(2か月分まとめて支給)となっています。初回支給は、育休取得から2か月以降のタイミングとなり、一時的に金欠状態になるので気をつけましょう。

社会保険料の免除

会計士

これも非常にありがたい話ですが、育休期間中は「社会保険料」が免除されます。

社会保険料の免除

育休を取得した開始月~終了前月までの期間の「社会保険料」が免除されることとなっています。免除期間も納付記録は残りますので、受取年金額が減ることもなく、被保険者としての資格にも影響はありません。

みなさんの給与明細を見ていただくとわかるのですが、「健康保険料」「厚生年金保険料」といった「社会保険料」の天引き金額は意外と大きいので、これが免除になるのは家計的には大変助かります

なお、社会保険料の免除のためには申請が必要となりますので、手続きを忘れないようにしましょう(基本的には会社を通じて申請することになります)。

詳細については、以下のページもあわせて見ることをおススメします。

日本年金機構HP
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/ikuji-menjo/20140327-05.html

相談者

給与明細を改めて見返しましたが、社会保険料ってこんなに払っているんですね。。これが免除されるのは大きいですね。

会計士

ちょっとした裏技ですが「賞与の支給月」に育休をとると、賞与に関する社会保険料も免除になるためお得です。

賞与月の1日でも育休をとれば社会保険料が免除されます。ただし、改正される可能性があるので、制度の動向を把握するようにしましょう。

Mymo HP:男性の育休取得で手取りが増えるのは今年まで。社会保険料免除要件をチェックhttps://mymo-ibank.com/money/4287

その他

会計士

ここからは男性の育休に限った話ではなく、子育て全般にかかわるお金の制度について解説を進めていきます。

「出産育児一時金」「出産手当金」は、奥様が受け取ることのできる給付金です。

出産手当金

出産手当金

これは出産した本人(奥様)が受け取ることのできる手当です。「育児休業給付金」が育休期間に給付されるお金であるのに対して、「出産手当金」は産休期間に給付されるお金です。

  • 期間:産休期間(出産予定日の6週前~出産後8週)
  • 金額:賃金×67%(限度額:約30万円/月)

奥様が扶養に入っている場合は、被保険者である旦那さんが受け取ることになります。

出産育児一時金

出産育児一時金

これは出産した本人(奥様)が受け取ることのできる一時金です。

一律で42万円が一時金として支給されます

出産費用を「医療費控除」(後述)する場合には、医療の金額から一時金を控除する必要があるので、ご留意ください。

医療費控除

「出産育児一時金」がある場合、上図の「保険による補填」に42万円が含まれることになります。

児童手当

児童手当

お子様一人当たり、15,000円/月がもらえる制度です。ただし、所得制限があるので留意しましょう。一定の所得水準を超えると5,000円/月の支給となります(特例給付)

また、今後の改正として年収1,200万円を超える場合には、支給がゼロになるという案が出ているので、こちらも動向をチェックしていきましょう。

出生日から15日以内に申請が必要ですので、忘れずに申請しましょう。

医療費控除

会計士

出産や関する医療費が多額に発生した場合には「医療費控除」によって税金を取り返すことができます。

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医療費控除
相談者

知らないと損をするような制度もいろいろありますね。忘れずに申請するようにします。

本記事のまとめ
  • 育休期間中は「無給」となってしまうが、国からの給付金や社会保険料の免除等があるため、一定の生活水準は維持することができる
  • 主な収入源としては非課税の「育児休業給付金」があり「社会保険料」も免除される
  • 他にも「出産手当金」「出産育児一時金」「児童手当」「医療費控除」といった制度を利用できる