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抑えておきたい5つのIT用語
なんとなく聞いたことのある用語が多そうですが、正確に理解できていないかもしれません。
昨今では、多くの企業がDXによる業務改善や効率化に取り組んでいます。
今回は概要のみの解説となりますが、それぞれの用語の概要を知っておきたい方はぜひ読んでいただけますと幸いです。
IoT(Internet of Things)
「IoT(アイ・オー・ティー)」とは、Internet of Thingsの略のことで、様々な「モノ」の情報をインターネットに接続する仕組み・考え方のことをいいます。
例えば、従来はインターネットに繋がっていなかった家電の情報(冷蔵庫の中身、エアコンの稼働状況等)をインターネットに接続することで、スマホからその情報をタイムリーに見ることができるようになります。このような家電のことを「IoT家電」と呼びますが、家電以外にも電気自動車の様々な情報をアプリで把握することができたりと「IoT」は身近なところで活躍しています。
今まで「オフライン」だった情報が「オンライン」化されるといったような表現もされます。
- 様々な情報がオンライン上で「視える化」される
- それによって、遠隔操作や情報分析が可能となる
なるほど。会社の業務に応用する場合には、どのような使い方ができるのでしょうか。
例えばですが、在庫にタグIDをつけて、リアルタイムに在庫情報をインターネット上で管理するといったことが考えられます。これによって実地棚卸(在庫の実物確認)を簡略化するといったことが想定されます。
また、「IoT」は情報を蓄積するために重要な考え方で、これからご紹介する「AI」「BI」「クラウド」等のツールを使う上での土台となります。
AI(Artificial Intelligence)
「AI(エー・アイ)」とは、Artificial Intelligenceの略で、人工知能のことをいいます。
「機械学習」といって、膨大なデータのパターンを学習させることによって、データの特徴を自ら把握し、その法則をAIが機械的に考えることができるようになります。こういう状況の時にはこういう判断をするといった「パターン対応」的なことが得意です。
一方で、行間を読む、空気を読む、感情を把握するといった人間特有の柔軟な対応は苦手としています。また、過去のデータを基に考えるため、全く新しいものを作り出すようなクリエイティブな作業も苦手です。
【メリット・特徴】
- 人間では処理しきれない膨大なデータパターンを把握することが可能
- 一定のルールに従い処理をしてくれるので人間よりも作業が正確
- 人間よりも作業スピードが速い(休憩も不要)
【デメリット・課題】
- 行間を読む、空気を読む、感情を把握するといった柔軟な対応はできない
- クリエイティブな作業(全く新しいものを作り出す)も苦手
これは有名ですよね。将棋のAIソフトには、もはや人間では勝てないといった話も聞いたことがあります。ただ「AI」がどのように会社の業務に応用できるのか、まだピンと来ていないですね。
たとえば、決算数値の「増減分析」や「異常値分析」をAIが行ってくれるということも想定されます。情報が蓄積されていけば、どのような原因で増減が生じているのか、異常値となっている原因の推測等もAIが実施してくれる時代が来るかもしれません。
税理士や会計士が「AI」に代替されるという人もいます。「AI」は上記のような特徴を持っているので、例えば、税法や監査六法に書いてあることを機械的に探してきて回答するようなことは人間よりも「AI」の方が得意です。そのため、ただ知識が豊富なだけ(表現が不適切ですが)の税理士や会計士は今後淘汰されていく可能性があるとも思います。
ただし、各種プロジェクトワークや会計上の判断等は機械的に情報をあてはめるだけでなく「プロフェッショナル・ジャッジ」と呼ばれるような柔軟な判断が必要となることが多いです。そのためには、会社の状況や基準の背景等を踏まえながら柔軟に判断することが重要で、機械的な判断では代替できないと考えられます。例えば「IFRS導入プロジェクト」では、会計処理を会社の判断にゆだねることが多く(原則主義といいます)このような柔軟な対応を求められる場面は多いです。
なるほど。「AI」が得意な分野はうまく利用することでお任せして、それ以外の柔軟な判断が必要な場面は人間で補うようなイメージですね。
BI(Business Intelligince)
「BI(ビー・アイ)」とは、Business Intelligenceの略で、企業が蓄積している膨大なデータを収集・分析・可視化(提案)し、企業活動のために有用な情報を提供する仕組み・考え方のことをいいます。
「AI」と似たような概念ですが、「BI」では最終的な意思決定を人間が行います。
「BI」ツール自体はビッグデータを収集、分析、可視化(提案)することを得意としていて、一般的にはBIツール(システム)のことを指すことが増えていると思います。
「ビッグデータ」という言葉も聞いたことがあります。「BI」というのは、会社に眠っている膨大な情報を腐らせるのではなく、宝として利用していくような仕組みや考え方のことですね。
そのとおりです。昨今のビジネスでは「データ(情報)」に価値があるとして、各企業が情報収集に必死になっています。データ自体に価格がついて売買されるようなケースも多々あります。
「ポイ活」と呼ばれる言葉もあるように、各企業でポイント付与合戦のようになっているのも「顧客情報」をビッグデータとして集めてデータ分析に利用することが背景にあったりします。
RPA(Robotic Process Automation)
「RPA(アール・ピー・エー)」とは、Robotic Process Automationの略で、ロボットを利用することにより業務処理を自動化するような仕組みのことをいいます。
「ロボット」というと、工場で動いているような機械をイメージされると思いますが、ここでいう「ロボット」というのはシステムのプログラムのようなもので、Excelのマクロのようなものをイメージしていただくと分かりやすいかと思います(例えば、Excel上の数字を別のシートにコピーする、ボタンを押すといった作業を自動化してくれます)。
【メリット・特徴】
- ロボットなので24時間対応が可能(夜間に処理を依頼することも可能)
- 一定のルールに従い処理をしてくれるので人間よりも作業が正確
- 人間よりも作業スピードが速い(休憩も不要)
【デメリット・課題】
- 機械的に作業を行うため、人間が行うような判断ができない
- ただし「AI」との組み合わせにより情報を蓄積することで「判断」をしながら作業をするという状態を目指すことも考えられる
既に導入している会社も多いかと思いますが、いわゆるルーティンワーク(システムからデータを出力して、Excelにその情報をコピーする、実行ボタンを押す等)をロボットに行ってもらい、担当者は作業結果を確認するだけにすることで業務効率を改善することができます。
ロボットが業務を行ってくれるんですね。遠い将来の話かと思っていたのですが、既に導入している企業も多いんですね。
「RPA」は比較的導入コストが低いため、多くの企業で導入が進んでいます。「RPA」の仕組み自体は単純ですが、導入するためには事前に業務内容をしっかりと手順化・文書化しておくことが重要です。
クラウド
「クラウド」とは、インターネットの向こう側にある高性能なコンピュータに情報処理を任せる技術のことをいいます。
「クラウド」というのは、「雲」のことで、「インターネット」をイメージしています。
これも有名ですが、実は具体的なイメージがあまりできていません。
もう少し解説を進めます。「クラウド」を利用するということは、いままではあなたのパソコンが自ら頑張っていたところを、インターネット(雲)の向こう側にある高性能なコンピューターに「おまかせ」するようなイメージです。
実は普段使っている「Gmail」のようなサービスも「クラウド」の一例です。インターネットさえあれば、Googleのコンピューターにメールの処理をお願いできるんです。自分のコンピューターにメールが溜まっていくのではなく、雲の向こうでメールを保存してくれています。
クラウドサービスを使用することで、経費の精算を外出先からスマホで行うことができたり、伝票の承認を行うことができるようになります。
また、自動でアップデートしてくれるというのも企業にとっては大きなメリットだと思います。
「クラウド」については、以下の記事もあわせてご参照ください。
DXとの付き合い方
DXが進んでいくと便利になっていく一方で、なんでも機械がやってくれるとなると、人間の仕事が減りそうですね。。
効率化によって人間の仕事・作業時間は減ることが想定されますが、より「生産的な仕事」に時間を使うことができるようになると考えています。
また、少子化の影響もあり今後は人手不足となることが想定されるので、早いうちに効率化できる部分は効率化を進めていくべきとも考えられます。
- 業務プロセスの仕組みづくり(どのようにDXを利用していくのか等)
- 監査法人とのコミュニケーション
- 会計上の見積もり等に関する実務判断(機械的に判断できないようなもの)
- トラブル対応、エラーハンドリング(機械的に判断できないようなもの)
なるほど。どこも人不足というのは聞きますし、仕組み作りは大変なので、そこに時間を割くことができるということですね。
そうですね。ここに挙げているのはあくまで一例ですが、他にも人間にしかできない仕事はたくさんあると思います。
そのため、より「生産的な仕事」に時間を使えるように、効率化できる部分は効率化を進めていくべきだと思います。
今回はDX(Digital Transformation)の流れに乗り遅れないために「抑えておきたい5つのIT用語」ということで、経理業務等にも影響してくるようなIT用語について解説を進めていきます。