(図解)簡単に理解できる「年収の壁」の概要  ~社会保険料編(106万円の壁、130万円の壁)~
【難易度★★★☆☆】

会計士

今回は、「106万円の壁」「130万円の壁」といった年収の壁について解説をしていきます。

相談者

扶養に入っている主婦などが働きすぎると損をするという話ですよね。以前調べたのですが、非常にややこしかった記憶があります。。

会計士

そうですね。年収の壁といっても様々な壁があり、頭が混乱する理由となっています。年収の壁は、以下の2つに分類して理解をすることがポイントです。

  1. 社会保険料の壁
  2. 税金の壁
相談者

なるほど。2つの種類の「壁」があるのですね。あまり意識したことがなかったです。

会計士

「扶養に入っている」という言葉もよく聞きますが、社会保険料の扶養、税金の扶養のそれぞれに区分されますので、あわせて理解しておきましょう。本記事では、社会保険料の壁を中心に解説をしますが、まずは全体像から説明します。

年収の壁の全体像

会計士

まずは、全体像から見ていきましょう。代表的な年収の壁として以下の6つの壁が挙げられます。

  • 100万円の壁
  • 103万円の壁
  • 106万円の壁
  • 130万円の壁
  • 150万円の壁
  • 201万円の壁
相談者

たくさんあって混乱しそうですね。。

会計士

そうですね。全てを理解する必要はないと思いますので、特に金額影響の大きい「社会保険料の壁」から理解するのが良いかと思います。なお、制度改正によって、106万円の壁、130万円の壁は実質的に崩壊したとも言われていますので、改正内容もあわせて理解しておきましょう。

社会保険料の壁とは

会計士

それでは、社会保険料の壁について解説を進めていきます。社会保険料の壁を超えると、扶養に入っていた際に「第3号被保険者」として免除されていた社会保険料を自ら納付する必要があるため、手取り額が大きく減少することになります

相談者

いわゆる「働き損」の状態ということですね。

会計士

そうですね。今回解説する社会保険料の壁は、「106万円の壁」「130万円の壁」の2つですが、勤め先の会社の規模等によって、適用される壁が異なります。それぞれ見ていきましょう。

106万円の壁

会計士

まずは、「106万円の壁」から見ていきます。

106万円の壁

一定の要件を満たす場合、社会保険料の納付義務が生じることになります。具体的には、以下のような要件です。

  • 賃金が月額8万8,000円以上(≒年間106万円以上)
  • 従業員が常時101人以上(2024年10月からは常時50人以上)
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 雇用期間が継続して2か月超見込まれる
  • 学生ではない
会計士

後述する130万円との違いにおける1番のポイントは、勤務先の従業員数です。比較的、規模の大きい会社に勤める場合には「106万円の壁」が適用されると理解すると良いでしょう

相談者

なるほど。パート・アルバイトでどれくらいの規模の会社で勤めるかというのが、壁の金額を分けるポイントとなるのですね。

130万円の壁

会計士

次に、「130万円の壁」について見ていきます。

130万円の壁

106万円の壁の適用対象とならない場合には、130万円の壁の対象となります。

相談者

比較的小さな会社でパート・アルバイトとして勤めるようなイメージですね。

会計士

そうですね。壁を超えた場合、従来、「第3号被保険者」として世帯主の支払う保険料によって実質無料で保険の対象となっていたところを自らが保険料を支払う必要が出てきます

年収の壁・支援強化パッケージとは

会計士

社会保険料の壁ですが、2023年10月よりスタートした「年収の壁・支援強化パッケージ」により、実質的に崩壊したとも言われています。ここからは、新制度の内容について解説を進めていきます。

年収の壁・支援強化パッケージ

パート・アルバイトの方が年収の壁を意識することなく、働くことができるように制定された新制度のこと

相談者

最近始まった制度ですね。壁が崩壊したというのはどういうことでしょうか。

会計士

106万円の壁、130万円の壁のそれぞれに以下のような対策を講じることで年収の壁を意識せずに働くことができるようになりました。

  • 106万円の壁 ⇒ 企業へ給付金を交付する
  • 130万円の壁 ⇒ 一時的な収入増加であれば、扶養のままでいることが可能
(厚労省HPより抜粋)

厚生労働省HP:年収の壁・支援強化パッケージhttps://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html

106万円の壁に対する対応

106万円の壁

106万円の壁に対する施策として、労働者一人当たりに対して最大50万円の給付金を企業に交付することとなりました。具体的には、賃金の増加や労働時間の延長といった一定の要件を満たすことで企業に給付金が支給されることとなります。

(厚労省HPより抜粋)
相談者

なるほど。給付金によって従業員へ追加支給を行うことが可能となり、結果的に年収が減らずに働けるようになるということですね。

会計士

そうですね。社会保険料の支払い自体は発生するのですが、その分支給額を上乗せすることで年収の壁を意識せずに働くことができるようになりました。

ただし、2025年にさらなる社会保険制度の改正が実施されるという話も出ており、最新の動向にも着目しながら戦略を練ることが求められそうです

130万円の壁に対する対応

130万円の壁

130万円の壁に対する施策として、繁忙期の残業などにより一時的な収入が増加していると証明される場合には、引き続き扶養には入れることになりました。扶養に入り続けるためには、事業主の証明が必要となりますが、条件を満たすことで130万円を超えた働き方が実現することになります。

(厚労省HPより抜粋)
相談者

なるほど。こちらは扶養を継続することができるため、結果的に年収が減らずに働けるようになるということですね。

会計士

そうですね。従来どおり扶養に入ったまま働けるため、社会保険料の支払いがないまま手取り額も増加させることができます。

繰り返しですが、2025年にさらなる社会保険制度の改正が実施されるという話も出ており、最新の動向にも着目しながら戦略を練ることが求められそうです

本記事のまとめ
  • 年収の壁は「社会保険料の壁」「税金の壁」の大きく2つに分類される
  • 社会保険料の壁は、「106万円の壁」と「130万円の壁」の2つである。勤め先の規模等によって適用される金額基準が異なる
  • 「年収の壁・支援強化パッケージ」によって、実質的に106万円の壁と130万円の壁が撤廃され、年収の壁を意識せずに働くことができるようになった。ただし、将来的な改正の動向には注意が必要