(図解)簡単に理解できる「プロジェクト・マネジメント」の基礎 ~タスク管理~
【難易度★★★☆☆】

「プロジェクト」とは

相談者

IFRS導入のための「プロジェクト」を進めているのですが、なかなかうまく進みません。「プロジェクト・マネジメント」の手法について教えてください。

会計士

本記事では「プロジェクト・マネジメント」のうち「タスク管理」という観点で解説をさせていただきます。

本題に入る前に、まずは「プロジェクト」とはなにかについて、しっかりと理解をしておきましょう。

プロジェクト

「プロジェクト」とは、ある期限までに目的やゴールを達成するための活動のことと本記事では定義させていただきます。重要なポイントは以下の2点です。

  • 期限があること
  • 独自性があること

基本的に「プロジェクト」はチームを組んで進められることが多いですが、目的を達成する(あるいは期限が到来する)ことによって「プロジェクト」チームは解散します。永遠に続くのではなく、終わりがある(有期性)というのが通常の業務との大きな違いです。

また、似たような「プロジェクト」はあるものの、まったく同じプロジェクトは存在しません。目的やゴールの水準が違う、期限が違う、使えるリソース(ヒト、モノ、カネ)の制約が違うといった形で、プロジェクトによって独自性があることも大きな特徴です。

プロジェクトマネジメント
会計士

プロジェクトの「ゴール」に向けて最短ルートで進めるのが理想的ですが、現実的にはうまくいかず、上の図のように遠回りをしながら進んでしまいがちです(時には最初に戻ってしまったり、別の道に行って行き止まりになったりといったこともあります)。

そうならないように、できるだけ最短ルートで進めるように管理をするのが「プロジェクト・マネジメント」の役割です。

プロジェクトマネジメントを担当するチーム(担当者)のことを「PMO」と呼ぶことが多いです(「PMO」は「Project Management Office」の略です)。

「タスク管理」の3つのツール

会計士

「プロジェクト・マネジメント」というと非常に奥が深いですが、今回は「タスク管理」という観点から、以下の3つの主要なツールをご紹介します。

  1. マスタスケジュール
  2. WBS(Work Breakdown Structure)
  3. 課題管理表

いずれもプロジェクトを進めるうえで、チームンバーが迷子にならないように「地図」のような役割を果たしてくれるツールです。

マスタスケジュール

「マスタスケジュール」とは、プロジェクトスケジュールの全体感を示した資料のことをいいます。

スケジュール上のタスクを「矢羽(やばね)」という矢印で表現し、PJのゴールに向かうために、どのタスクをいつまでに実施するのかを管理するためのツールです。

ここではあまり細かいレベルで記載するのではなく、あくまで全体感をつかめるような粒度で矢羽を記載するのがポイントです。必要に応じて、少し細かいレベルで資料を作ることもあります(全体感を「レベル1」、細かいものを「レベル2」と呼んで管理したりします)。

特に形式は問われませんが、PPT(パワーポイント)で作成するのが一般的です(全体を俯瞰しやすいため)。

相談者

「マスタスケジュール」を作ることでプロジェクトの全体像がわかりますね。

会計士

そうですね。これをさらにタスクレベルに細分化したものが次に紹介する「WBS」というツールです。

WBS

「WBS」とは、マスタスケジュールの矢羽をさらに細かいレベルでガントチャート等に落とした資料のことをいいます。なお、「WBS」は「Work Breakdown Structure」の略です。

「WBS」を作成する際のポイントは、いつまでに、だれがタスクを実施するかを明確にすることです。担当者は「XXチーム」といったあいまいな記載ではなく、バイネーム(具体的な名前)で記載することをおススメします。

特に形式は問われませんが、Excel(エクセル)で作成するのが一般的です(フィルタをかけることによって、ステータス管理がしやすいため)。

会計士

「WBS」を作ることで、一つ一つのタスクを詳細化し、「個人別」に「タスク」レベルで管理することができるようになります。

課題管理表

課題管理表」とは、プロジェクトを進めていくなかで発生した課題を管理する資料のことをいいます。こちらは、WBSのタスクよりもさらに細かいレベルでのToDoを起票して管理するような表です

大きなToDoとなる場合には、課題管理表ではなくWBSのタスクとして追加する方が良いです。課題管理表も、いつまでに、だれがToDoを実施するかを明確にすることがポイントです。

特に形式は問われませんが、Excel(エクセル)で作成するのが一般的です(フィルタをかけることによって、ステータス管理がしやすいため)。

相談者

プロジェクトを進めていく中で「課題」はたくさん出てくるので、このような管理表を使って視える化することができるんですね。

プロジェクトマネジメント

「ステータス管理」について

会計士

あたりまえの話ですが、いずれのツールも作って終わりではなく、継続的にモニタリングしてステータスを管理することが非常に重要です

マスタスケジュールであれば、当初のスケジュールと比べ、実際の進捗はどうなっているのか、WBSや課題管理表であれば、定期的に期限切れとなるタスク、ToDoを洗い出し担当者へ連携する等のアクションが必要になってきます。

プロジェクトマネジメント
相談者

なるほど、いま進めているプロジェクトでも試してみようと思います。

長期的なプロジェクトであれば、定例会または定期的な期限を決めて管理することを推奨します。たとえば、以下のようなイメージです。

  • 毎朝のDaily会議で進捗を報告してもらう
  • 月、水曜日のXX時までにステータスを更新してもらう
  • 金曜日のXX時点で遅延が生じているものをPMOが吸い上げる
会計士

担当者に主体的に管理表を更新してもらうのか、PMO(プロジェクトマネジメントチーム)が情報を取りに行くべきなのかといったところはプロジェクトの状況(リソース、メンバーのスキル等)に依存しますので、柔軟な対応が求められます。

本記事のまとめ
  • プロジェクトの「ゴール」に最短で向かうため、プロジェクトマネジメントの役割が重要
  • プロジェクトのタスクを管理するために、①マスタスケジュール、②WBS、③課題管理表といったツールを使うことがおすすめ
  • 作成して終わりではなく、継続的にステータスをモニタリングすることが重要