6月というと梅雨の季節ですね。洗濯に困る季節です。。
そうですね。世間的には梅雨の季節ですが、経理観点では「有価証券報告書」が続々リリースされる時期としても覚えておきましょう。
なるほど。3月決算の会社が多いからですね。ただ、決算発表というと、4月とか5月に多いイメージですが、6月に多いというのはなぜでしょうか。
いわゆる「決算発表」というと決算短信における速報のことを指しているのですが、より詳細な決算情報は少し遅れて「有価証券報告書」という形でリリースされます。具体的に解説を進めていきます。
「決算短信」については、以下の記事もあわせてご参照ください。
有価証券報告書とは?
「有価証券報告書」とは、「金融商品取引法」に基づいて、会社が提出することを求められている法定開示書類のことをいいます。
ざっくり言ってしまうと「決算書」のようなものですが、いわゆる決算書よりも情報量が多いのが特徴です。有価証券報告書には以下のような内容が記載されています。
たくさん見出しがありますが、全部で何ページくらいあるんですか?
会社によって様々ですが、だいたい100ページ~300ページくらいのボリュームになります。かなりの情報量となっており、有価証券報告書は「企業情報の宝庫」と呼ばれます。
え、、そんなにページ数が多かったら読む気にならないです。。。
個人的には「有価証券報告書」を上から下まで本のように読む必要はないと思っています。あくまで知りたい情報を参照するための辞書のように読んでいただけると良いかと思います。
そのためには、どのパートにどのような内容が書いてあるのかを理解しておく必要があります。そこで、今回は有価証券報告書の各パートに記載されている内容の概要につき、解説をしていきます。(自分の興味のある会社の有価証券報告書を片手に解説を読んでみることをおすすめします)
有価証券報告書はどれくらいの頻度で公表されるのでしょうか。
有価証券報告書は、年に1回の提出となっています。これとは別に3か月に1度のペースで「四半期報告書」という開示書類を提出することとなっています。
「四半期報告書」については、以下の記事もあわせてご参照ください。
上場している会社の有価証券報告書は以下のページから見ることができます。
- 会社のHP
- EDINET
①の会社のHPから見るときは「IR情報」というページ見れることが多いです。その他「決算情報」等会社によってHPのつくりや呼び方は違いますが、これらのキーワードで簡単に見つかると思います。
②の「EDINET」は、金融庁のページです。「書類検索」→「会社名を検索」すると、各社の決算書類を見ることができます(以下にリンクを張っておきます)。
(EDINET) https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/
他の開示書類との関係
有価証券報告書は、決算日(例:3/31)から3か月以内に提出することとされています。そのため、6月の中旬~下旬にかけて公表する企業が多くなっています。
「決算短信(決算速報)」は、45日以内と聞いたことがあります。
そうですね。また、3か月に1度提出する「四半期報告書」も45日以内となっています。年度末における「有価証券報告書」は記載のボリュームも多いことから、提出までの期間に余裕が設けられています。
100ページ以上あるんですもんね。その分、時間的な余裕はあるということですね。
そうですね。最後に各書類の関係をまとめると以下のとおりです。
有価証券報告書の読み方(例)
有価証券報告書の読み方の一例として、「主要な経営指標の推移」⇒「BS」「PL」「CF」⇒「注記情報」⇒「指標分析」といったように、まずはハイレベルな情報から読み始め、徐々に細かい注記情報等を見ていくのがおすすめです。
なるほど。BS、PLは決算書の基本ですね。注記情報はどういった項目を読むと良いのでしょうか。
「決算書」については、以下の記事もあわせてご参照ください。
「セグメント情報」という注記は会社のビジネスを事業等の軸で細分化して分析を行うのに適しています。まずは、このあたりから読み始めると良いかと思います。
また、「収益の分解」という注記も会社の事業を理解するのには適していますので、あわせて読んでみると良いかと思います。会社によって粒度は異なりますが、製品・サービス別、地域別といった軸で収益(売上)の金額が細分化されています。
「セグメント情報」「収益の分解」については、以下の記事もあわせてご参照ください。
なるほど。指標という観点ではどのような指標を見るのが良いでしょうか。
代表的な指標としては「営業利益率」「純利益率」「ROE」といった指標を見ておくと良いかと思います。具体的な事例もあわせてご参照ください。
具体的な分析事例については、以下の記事もあわせてご参照ください。
なるほど。具体的な分析事例を参考にしながら有価証券報告書を読んでみようと思います。
いきなりですが、「6月」といえば何をイメージしますでしょうか。