(図解)簡単に理解できる「グロース株」「バリュー株」~株式投資の戦略~
【難易度★★☆☆☆】

会計士

本記事では「グロース株」投資、「バリュー株」投資という株式投資の戦略について、解説を進めていきます。

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「株式投資」とは?から知りたい方は以下の記事もあわせてご参照ください。

相談者

「株式を所有する=会社の所有者になる」という話でしたね。「グロース株」「バリュー株」というのはそれぞれ初耳ですが、どのような内容でしょうか。

「グロース株」とは?

グロース株

「グロース株」とは、将来的に高い成長が見込まれる企業の株式のことをいいます。

たとえば、アメリカのGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)や日本で言うと、メルカリ、エムスリーといった成長著しい企業の株式が該当します。

これらの企業は、市場から高い成長が見込まれると評価されているため、現時点の業績よりも株価が高く評価されることが多く、「PBR」や「PER」が割高な水準にあることが多いです。

ただし、将来的に大きく成長する見込みがあることから、投資した金額が数倍、数十倍と大きく上昇する可能性もあり、夢のある投資対象です。

会計士

以下のグラフは「Apple」「エムスリー」の株価推移ですが、ここ数年でものすごい上昇となっていることがわかります。

(Google検索結果より抜粋)
(Google検索結果より抜粋)
相談者

ものすごい上昇率ですね。夢があります。

会計士

過去数年の動きを見ると、大きく上昇していますが、同じように大きく下落するリスクもあるのが「グロース株」です(ハイリスク・ハイリターン)。

また、「配当利回り」が低くなっていることから、「インカムゲイン」は大きく期待できないのですが、その分大きな「キャピタルゲイン」を狙うことが可能です。(下図の「低配当・無配」のケースのようなイメージです)

インカムゲイン、キャピタルゲイン
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「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」については、以下の記事もあわせてご参照ください。

「バリュー株」とは?

バリュー株

「バリュー株」とは、会社の利益水準等に比べて割安となっている株式のことをいいます。

たとえば、米国のコカ・コーラ、P&Gや、日本で言うと、トヨタ自動車、三菱商事等の株式が該当します(いわゆる成熟企業で、グロース株と比べると大きな成長することが想定されないような企業が多く該当します)。

成熟企業=バリュー株というわけではなく、「PBR」や「PER」が割安となっている企業の株式が「バリュー株」と呼ばれます。

これらの株式は、今後大きく成長することが見込まれないことから、株価が大きく変動しないことが多いです(当然成長はしていきますが、「グロース株」と比べると大幅な成長はなく、安定的に利益を稼ぐようなイメージです)。

低PBR、低PERの株式を探そうと思うと、業績不振の会社が多く見つかりますが、これらの会社への投資はリスクがあります(倒産した場合、株の価値はゼロの近くなります)。

そのため、業績が安定している一方で、 低PBR、低PER の割安水準にある株式を「バリュー株」として狙うようにしましょう。

会計士

以下のグラフは「コカ・コーラ」「三菱商事」の株価推移ですが、グロース株ほどの大きな上昇はないものの、ゆるやかに株価が上昇していることがわかります。

(Google検索より抜粋)
(Google検索より抜粋)
相談者

こちらは「配当利回り」が約3%と高くなっていますね。

会計士

そうですね。「バリュー株」は成熟企業であることが多く、将来の成長よりも株主への還元(配当)を重視する傾向にあります。

そのため、株価がそこまで大きく上昇しなくても、着実にインカムゲインを得ることができるというメリットがあります
(下図の「高配当」のケースのようなイメージです)

インカムゲイン、キャピタルゲイン

(余談①)「バリュー株」に投資する際には「減配」に注意が必要です。

「減配」というのは、過去の水準から配当の金額や割合を下げることをいい、マーケットはこの「減配」を嫌うことから、大きく株価を下げることがあります。

「バリュー株」へ投資する投資家は、配当金を目的としていることが多いのですが、「減配をする」=「業績が悪く、手元資金すら余裕がなくなってきている」といった見方がされ、株価を下げる要因となります。

そもそも配当の水準が高すぎることが要因で減配する分には大きな問題ではないのですが、一般的に減配するときには会社として余裕がなくなっている状態であることが多いです。

(余談②)高すぎる配当水準にも注意が必要です。

業績が低迷していることに比べるとまだマシではあるのですが、

そもそもの水準が高いケースについても、経営者の将来見通しが甘かったという見方をされることがあり株価を下げる要因となります(本来的には将来のことを見越して配当水準を設定すべきであり、減配するということは経営者の将来見通しが甘かったとして経営者の判断を疑われる可能性があります)。

どちらに投資するべき?

会計士

一概にどちらが良いとは言えないのですが、みなさんの「リスク許容度」や「性格」に合わせて、以下のような捉え方をするのが良いかと思います。

グロース株投資

以下のような志向の方は「グロース株投資」をおススメします。

  • 短期~中期での値上がりによって大きなキャピタルゲインを狙いたい
  • ハイリスクでも短期的にハイリターンを狙いたい
  • 投資先業のビジネスが今後も大きく成長する予感がする
  • 投資先企業が将来の勝ち組になる絵が見える
バリュー株投資

以下のような志向の方は「バリュー株投資」をおススメします。

  • 中期~長期で、コツコツとインカムゲインを狙いたい
  • ローリスクで長期的に安定して保有したい
  • 投資先企業のビジネスは安定していて長期的に安泰であると考えている
  • 低株価となっている要因が今後改善する予感がする(経営陣の入替、市場の変化等)
  • 株は怖いけど、現金で持っているよりも利率は良いだろうという方
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さらにローリスクで運用したい方は「債券」という商品もおススメです。以下の記事もあわせてご参照ください。

相談者

なるほど。私はコツコツと貯金をしたいので、「バリュー株」を7割、「グロース株」を3割くらい保有しようと思います。

会計士

良いと思います。「グロース株」は割高となっている可能性があるので、初心者にとってはリスクがあります。そのため、初心者の方は「バリュー株」を少し多めに保有するほうが安全と考えます。

テスラ社のPER

余談ですが、グロース株の代表格であるアメリカのテスラ社の「PER」は約1,800倍(2021年11月現在)と、とても大きい数字になっています。これは、テスラ社が将来的にドル箱とみて、現状の利益水準に比べて株価が高くなっている状態であり、テスラ社の所有者となる権利をみんなが欲しがっていることを意味します。

本記事のまとめ
  • 「グロース株」とは、将来的に高い成長が見込まれる企業の株式のこと
  • 「バリュー株」とは、会社の利益水準等に比べて割安となっている企業の株式のこと
  • それぞれのリスク許容度、性格に応じて投資手法を選択するのがおススメ