（実践編）「デュポンシステム」によるROE分解 ～5社のROEを分解分析～
【難易度★★★☆☆】

今回は「デュポンシステム」によるROE分析について、事例を見ながら理解を深めていこうと思います。

「デュポンシステム」について、簡単におさらいをしておきましょう。

式を見ると、わかりづらいのですが、「売上高」と「総資産」という要素を間に入れることで、3つの視点から「ROE」を分解して見れるようになっているんです。「売上高」と「総資産」を相殺すると、「ROE」の式である「純利益÷自己資本」に戻ります。

ここからは事例を見ながら理解を深めていきましょう。まずは、清掃用品・清掃サービスで有名な「ダスキン社」から見ていきます。

「総資産回転率」「財務レバレッジ」の数字がおおむね「1倍」に近い数字となっており、「売上高利益率≒ROE」といった図式になっています。

そうですね。なお、翌年度（2021年）の数値を見てみると「売上高利益率」以外は同水準で、「売上高利益率」が下がった分だけROEが下がっているような状況です。

次に、ガソリンスタンドで有名な「ENEOS」社の数字を見ていきましょう。

そうですね。負債を積極的に利用していることから「財務レバレッジ効果」が働いています。利益が出ているときはROEを引き上げる効果がありますが、逆に赤字が出ている場合にはマイナス幅を大きくしてしまう効果もあります。

なお、翌年度（2021年度）の数字を見てみると、黒字となった結果「財務レバレッジ」によってROEが引き上げられています。

次に「三菱商事」ですが、財務レバレッジの水準がENEOS同様「3倍」を越える水準となっています。

そうですね。翌年（2021年度）の数字を見てみると、利益率以外はあまり変わらないにもかかわらず、ROEが「約3%」に落ち込んでいます。

次に、ROEが「30%超」という非常に高い水準にある「ソフトバンク」のROEを分解してみましょう。

そうですね。もしかすると資産が効率的に利用できていない部分があるのかもしれません。

「BS」の内訳を見てみると大まかな原因を掴めるので、在庫や債権（売掛金）といった資産の内訳を見てみましょう。

そうですね。財務レバレッジはさらに大きくなり、負債を積極的に利用していることがわかります。

最後に、スタートアップ企業で急成長中の「メルカリ」を見ていきます。

そうですね。翌年（2021年度）は、黒字化したこともあり、大幅にROEが改善しています。

そうですね。売上や総資産も大幅に増加しており、スタートアップでは様々な要因でROEが増減することがわかるような例となっています。