(図解)簡単に理解できる「財務諸表分析」~収益性分析~
【難易度★★★☆☆】

相談者

「BS」「PL」について、読み方が少しずつわかってきたのですが、これらを使った具体的な分析方法について教えてください。

会計士

今回は、「収益性分析」について見ていきます。「収益性分析」では主に「BS」と「PL」の金額の比率を用いて分析を行います。

様々な指標がありますが、ここでは代表的な①ROA(総資本利益率)、②ROE(自己資本利益率)、③売上高利益率という分析手法について解説します

「ROA(総資本回転率)」とは?

ROA

「ROA」は、以下の式によって計算することでがきます。

ROA(%)=当期純利益 ÷ 総資本 ×100

「ROA」は「会社が持っているすべての資産を利用して、どの程度の利益をあげているのか」を示す指標です。純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを分析することができます。

一般的には、5%以上であれば効率的に稼いでいるといわれています

ROA

「ROA」は「Return On Assets」の略です。

相談者

少ない資本でより多くの利益を上げたほうが収益性が高い(効率が良い)ということですね。

会計士

そうですね。ROAが低いということは「資産効率が悪い」可能性があることを示しています。

「ROE(自己資本利益率)」とは?

ROE

「ROE(自己資本利益率)」は、以下の式によって計算することでがきます。

ROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本 ×100

「ROE」は株主が拠出した資本(自己資本)利用して、どの程度の利益を上げているかを表す指標です。「自己資本」をいかに効率的に運用できているかを分析することができます。

一般的には、8%~10%以上であれば効率的に稼いでいるといわれています

ROE

「ROE」は「Return On Equity」の略です。
また、「ROE」はさらに細かく分解し、分析することでより深い分析(デュポンシステムといいます)を行うことができます。以下の記事もあわせてご参照ください。

あわせて読みたい

「デュポンシステム」については、以下の記事をあわせてご参照ください。

デュポンシステム
相談者

「ROA」よりも「株主視点」での効率性を見ることができるんですね。

会計士

そうですね。ちなみにですが、昨今ではROAよりもROEを重視する傾向があります。また、「ROIC(ロイック)」というさらに進化した指標もありますので、あわせて理解を進めると良いと思います。

「売上高利益率」とは?

売上高利益率

「売上高利益率」は、以下の式によって計算することでがきます。

売上高利益率(%)=段階利益 ÷ 売上高 ×100

「売上高利益率」は、売上に対してどの程度利益をあげているかをあらわせす指標です。いかに効率的な経営を行っているかを分析することができます。

業種によって利益率は大きく異なるので、一概に目安となる%を示すのは難しいです最終的な「当期純利益率」に関しては、5%~10%水準に収まることが多いです。薄利多売の業種とオーダーメイドで商品を販売する業種では大きく利益率が異なる等、業種によって特性がありますので、複数の指標と組み合わせて分析することや同業種の企業間で比較することをおススメします。

「段階利益」とは、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税金等調整前利益」「当期純利益」のことを指します。

相談者

少ない売り上げでも利益が多ければ収益性が高い(=効率が良い)ということですね。また、他社との比較分析が有用になりそうですね。

会計士

そうですね。ROAやROEも同様ですが、「比率による指標」なので、規模の異なる企業間でも比較することが可能というメリットがあります

あわせて読みたい

「段階利益」については、以下の記事をあわせてご参照ください。

売上高利益率
会計士

繰り返しになりますが「利益率」については、業種によってばらつきがあるため、「他社比較」や「期間別比較」をすることによって分析することをおススメします。

あわせて読みたい
相談者

収益性の分析手法が少しずつわかってきました。実際の「決算書」を見て分析をしてみようと思います!

本記事のまとめ
  • 「ROA」によって、純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを分析することができる。5%程度が目安と言われている。
  • 「ROE」によって、「自己資本」をいかに効率的に運用できているかを分析することができる8%~10%程度が目安と言われている。
  • 「売上高利益率」によって、いかに効率的な経営を行っているかを分析することができる(少ない売り上げでも利益が多ければ収益性が高い)

「決算書」ってどこで見れるの?

上場している会社の決算書は以下のページから見ることができます。

  1. 会社のHP
  2. EDINET

①の会社のHPから見るときは「IR情報」というページ見れることが多いです。その他「決算情報」等会社によってHPの構成や呼び方は違いますが、これらのキーワードで簡単に見つかると思います。
②の「EDINET」は、金融庁のページです。「書類検索」→「会社名を検索」すると、各社の決算書類を見ることができます(以下にリンクを張っておきます)。

(EDINET) https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/

非上場(上場していない)会社の決算書は、株主にならないと見れないケースも多いです。株主になった場合は、株主総会の招集通知に決算書が添付されていますので、ここから見ることができます。