株ってなに?
株は競馬やパチンコ等のギャンブルとは異なります。
ここでは「株を保有する」ということの本質について解説をしていきたいと思います。
会社の所有者になるということ
株を保有するということは、一言でいうと「会社の所有者になる」ということです。
例えば、トヨタやソフトバンクのような大企業の所有者の一人になれるということです。
本文では簡便的に「株」と呼んでいますが、正式には「株式」といいます。
会社の所有者になる!?まだピンとこないですね、、
まずは「会社のお金の流れ」について、少し理解を進めていきましょう。
会社がビジネスを行うためには「軍資金」が必要です。会社の軍資金は大きく分けると、①株主からの出資と②銀行からの借金です。
①を自己資本(会社自身のお金)、②を他人資本(会社外部からのお金)と呼びます。
「自己資本」という言葉のように、基本的には会社は株主からの出資をもとに成り立っていて、お金が足りない場合には銀行等の外部からお金を借りてきます。
株主や銀行から集めた軍資金を元手に、会社は従業員を雇ったり、工場を建てたり、商品を仕入れたりします。これらの資産をもとに収益をあげ、ビジネスがうまくいくと儲けである「利益」が生まれます。
本記事は「株式会社」を前提として解説をしています(大きな会社というイメージでOKです)。
「利益」は株主のもの
では、株式会社では、儲かった「利益」は誰のものでしょうか。
「もうけ(利益)」は社長のものですよね。
例えばソフトバンクでいうと、孫正義社長のような方のものではないでしょうか。
残念ながらはずれです。先ほどの話のとおり、会社の所有者は株主です。
そのため、会社の儲けである「利益」は所有者である株主のものです。
え、そうなんですか。。まだピンとこないです。
では、会社の儲けである「利益」について、もう少し理解を進めていきましょう。
「利益」というのは「売上」から「費用」を引いて残った金額のこと
たとえば、1,000円のラーメンを売った場合、700円の費用(材料費、人件費等)を引いた300円が利益です。会社の規模で考えると、「売上」は会社のビジネスから発生した収益全体を指し、「費用」は原価、販売管理費等の企業の支出全般が含まれます。
「費用」の中には、社長や従業員の人件費が含まれます。社長や従業員はあくまで所有者に雇われている人なので、所有者である株主から見ると、彼らに対する人件費は「費用」となります。あくまで所有者である株主の目線で見るということがポイントです。
「売上」「費用」といった「決算書」の基礎について、以下の記事で解説をしていますので、こちらもぜひ読んでみてください。
また、以下の記事では「利益」について、さらに深堀りをしています。
社長の人件費も「費用」なんですね。ということは、社長も誰かに雇われているんですか?
そのとおりです。社長も会社の所有者である株主に雇われています。もう少し正確に言うと、会社の役員である取締役は株主総会の専任(委任契約)により決定されます。
話を戻すと、「売上」からこれらの「費用」を引いた「利益」は株主のものなので、「配当」という形で所有者である株主が受け取ることができます。
なるほど。株主が会社の所有者であるという意味がだんだんと分かってきました。株主になると、会社の儲けである「利益」をもらえるので、とってもお得ということですね。
そのとおりです。儲かっている会社の株を買うということは、「儲けをもらう権利」をもらえることを意味するので、とってもお得なんです。
逆に儲かっていない会社の株を持っている場合には、投資した金額が減ってしまう可能性があるのでリスクがあります。
そういう意味では、投資先の業績に「リターン」が左右されるという点でギャンブル要素があるとも言えます。そのため、儲かっている会社をしっかりと見極めて株を買うことが基本です。
もう少し表現を変えると、ソフトバンクグループの株を買うことによって、以下のような状態を作ることができます。
- 孫さんを含めたソフトバンクグループが自分(株主)のために働いてくれる
- ソフトバンクの契約者が増えれば増えるほど、自分(株主)にリターンが返ってくる
- ソフトバンクのような企業のビジネスに乗っかることができる
「株式投資をする」というのは、自分で働くのではなく、投資先に出資することで投資先に働いてもらっていることと同じです(「お金に働いてもらう」という表現もありますね)。
なるほど。「会社の所有者(オーナー)になる」というのは、自分の代わりに投資先の会社に働いてもらえるというような意味合いがあるのですね。
そうですね。例えば、外食系の企業へ株式投資をした場合、店舗に来ているお客さんは自分(株主)にとってのお客さんでもあるということです(投資先の飲食店のお客さんに「毎度あり」という気持ちを持っているような人は、オーナーとしての株主投資を理解していると思います)。
なぜギャンブルと呼ばれるのか?
では、株式投資がギャンブルと言われるのはなぜでしょうか。
株がギャンブルといわれる理由ですが、株自体に値段がついて取引されることが理由です。
株(会社のオーナーになる権利)は、証券取引所で日々活発に取引がされています。儲かる会社の株主になる権利は、当然みんなが欲しがるので、高値で取引されることになります。そのため、人気な会社の株価はどんどん高くなっていきます。
ただし、高値で取引されていた会社の業績が落ちてくると、株(会社のオーナーになる権利)の値段は下がってしまいます。そのため、株を買うタイミングによっては、株価が下がり、損をしてしまう可能性があります。
(繰り返しで恐縮ですが)株を保有することの本質は「会社の所有者になる」ということです。そのため、儲かっている会社の株式を買うことによって、基本的には会社の儲けである「利益」を「配当」という形でもらえるので、とてもおいしい権利です。
ただし、あまりに高い株価で買ってしまうと、業績が悪化した場合など株の人気が下がった場合に損をする可能性があるので、株価が適正であるかを判断することが重要です(これが非常に難しいんですが、、)。
なるほど。「儲かっている」会社の株を「適正な株価」で買うことができれば、良い投資ができるということですね。株価が適正かどうかというのはどのように判断すれば良いのでしょうか。
株価が適正かどうかを判断するのは非常に難しいことなんですが、いくつか参考になる指標がありますので、別の記事で解説をしていきます(「PBR」「PER」といった指標や、「決算書」により株価の相場を見極めることが可能です)。
「適正株価」の判断については、以下の記事もあわせてご参照ください。
「株に投資をする」ということは、投資した資金が減ってしまうというリスクを負うため、一定のギャンブル要素はたしかにあります。特に儲かっていない会社の株を買ったり、ベンチャー企業の株を買うといったリスクのある投資(「投機」といわれます)はよりギャンブル要素が大きいです。
ただし、しっかりと投資対象を見極め、リスクを抑えながら投資を行うことで、「会社の所有者」となり、配当という形で安定的に会社の儲けをもらうことが可能です。そのため、いわゆる競馬やパチンコのようなギャンブルとは別ものであるといえます。
「投機」ではなく、「投資」を行うことが重要なんですね。
余裕がある方は、「投資のリターン」を正確に理解するために、以下の記事もあわせて読んでみましょう。
また、「債券投資」という投資方法もありますので、こちらもあわせてご参照ください。
- 「会社の所有者になる」ということは、会社の意思決定に関与する権利も保有することになります。「モノを言う株主」という言葉があるように、株主は経営に意見をすることができます(株主は「会社の所有者」なので、経営に積極的に意見を言うべきとも言えますが、配当等を目的として保有するケースも多く、議決権は行使しない個人株主も多いです)。
- 具体的には「議決権」という権利を保有していて、「株主総会」と呼ばれる株主の集会において、意見(賛成、反対)を述べることができます。
株に手を出すのは怖いし、ギャンブルなので買いません。