(図解)意外と知らない「住民税」の仕組み ~所得税との違い~
【難易度★★☆☆☆】

会計士

今回は意外と知らない「住民税」の仕組みついて解説を進めていきます。

相談者

「所得税」については、確定申告が必要といった話がよく出てきますが、たしかに「住民税」ってよくわからないですね。。

住民税とは?

住民税

「住民税」とは、地区町村に支払われる地方税の一種のことをいいます。

前年の課税所得をベースに地区町村にて税額が計算され、翌年6月から納付をする必要があります。

相談者

私の場合だと、いま住んでいる横浜市に支払っている税金のことですね。

住民税は給料があがるとその分多く払う必要があると聞いたことがあります。

会計士

そのとおりです。まずは、住民税の計算方法の概要について、所得税と比較しながら解説をしていきます。

住民税の計算方法

会計士

住民税も所得税も前年の課税所得をベースに計算するという点では同じです。住民税は、課税所得に対して「10%」の税金が課されます。

「誰が」計算するかという点について、住民税は地方自治体が計算するのに対して、所得税は個人で確定申告するという違いがあります(会社員の場合には、年末調整という形で人事が計算しています)。

相談者

なるほど。私は会社員なので、いずれも自治体や会社が計算してくれているんですね。たしかに、自分で計算したことはなかったです。

会計士

また、住民税の場合には「均等割(きんとうわり)」という考え方がある点でも所得税と異なります

均等割とは

「均等割」とは、所得の大きさに関係なく一律で割り当てられる税金のことをいいます。

地域社会の会費のようなもので、高所得者であっても低所得者であっても4,000円~5000円/年程度は、住民税を負担してくださいという考え方です。

ただし、生活保護を受けているといった一定の要件を満たした場合には、均等割り部分が免除されるケースもあります。

相談者

なるほど。所得が少ない場合であっても、地域社会の会費分は負担しないといけないのですね。

住民税の納付時期

会計士

つぎに、住民税の「納付時期」について解説をしていきます。住民税は「後払い」の考え方をとっています

住民税の納付時期

住民税は、1年間(1月から12月まで)の所得をもとに計算され、翌年の6月から納付がスタートします。

たとえば、「2021年にたくさん稼いだよ」という方は、2022年の6月から住民税の支払いが増えることになります。所得が発生した時期から遅れて納付が始まるので、びっくりしないようにお気を付けください

相談者

前年の所得をベースに半年ほど遅れて納付がはじまるんですね。

会計士

そうですね。一方で、会社員の所得税は「源泉徴収」という形で先払いの考え方をとっています(個人事業主の場合は「確定申告」による後払いです)。

あわせて読みたい

住民税の納付方法

会計士

最後に、住民税の「納付方法」について解説します。納付方法については、所得税のケースと考え方に大きな相違はありません。

住民税の納付方法

以下の2種類の方法のうち、いずれかを選択することができます。

  1. 特別徴収
  2. 普通徴収

会社勤務の方であれば、①の特別徴収が一般的です。

相談者

なんだかややこしい言葉ですね。。いつも給与明細を見るときに住民税が控除されているのですが、それとは違うのですか?

特別徴収

給与から引かれているのであれば、「特別徴収」を選んでいることになります。「特別徴収」とは、給与から天引きする形で住民税を納付する方法のことをいいます。

そのため、ふるさと納税をした場合、翌年の給与天引きの金額が小さくなります通常は会社が手続をしてくれるので、特別徴収(給与天引き)となっている方が多いと思います。

普通徴収

「普通徴収」は自ら納付書払いによって住民税を納付する方法のことをいいます。

「普通徴収」を選択している方(会社勤めだと転職をした場合等、または個人事業主等)は、税務署から納付書が送られてくるので、納付書に指定された金融機関の窓口やコンビニエンスストア、役場の窓口などで、原則として現金で納付します。
納付書がPay-easy(ペイジー)に対応していれば、インターネットバンキングやモバイルバンキング、ATMを利用しての納付も可能です。また、一部の市区町村ではクレジットカード決済が可能です。
納付のタイミングは、一括納付(納付期限は6月末まで)か、4期分割(納付期限は第1期が6月末まで、第2期が8月末まで、第3期が10月末まで、第4期が翌年1月末まで)の好きなほうで納付することができます

会計士

用語の違いはあるものの、給与天引きとそれ以外の納付という方法があるという理解をしておけばOKです

住民税を節税するためには?

会計士

住民税は「課税所得」をベースに計算されます。

そのため、各種「所得控除」や「ふるさと納税」を利用することで節税が可能です(詳細については、以下の記事をあわせてご参照ください)。

あわせて読みたい

「所得控除」の仕組みについては、以下の記事をあわせてご参照ください。

「ふるさと納税」については、以下の記事をあわせてご参照ください。

本記事のまとめ
  • 住民税は、昨年の所得をベースに地方自治体が計算する。所得税とは異なり「均等割」という考え方がある
  • 住民税は、前年の所得をベースに翌年の6月から納付する(後払い)
  • 住民税は、普通徴収か特別徴収(給与天引き)のいずれかで納付する

なぜ、税務署は「去年の所得」や「ふるさと納税をしたこと」を知っているの?
確定申告している場合には、確定申告によって自ら所得と寄付金額を税務署に申告します。
確定申告をしていない場合には、勤務先の会社の人事部が税務署に報告をすることによって所得の金額が税務署に連携されます。

また、寄付金額については、「ワンストップ特例制度」によって各自治体から税務署に連携されます。

ふるさと納税

「確定申告」については、以下の記事もあわせてご参照ください。